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私の願望

【美人三姉妹の公開処刑】

磔妄想少女 橋本由貴
天女伝説(ブログ妄想鬼畜磔小説より)
女囚淫虐仕置談[雪子の悪夢]
【美人三姉妹の公開処刑】 
(市中引き回しのこと)
その日、初秋の王都の天は雲一筋すら無く、抜けるような青空であった。

絵に描いたような爽やかな秋の昼下がりに、およそ似つかわしくない一団が王都の大通りを歩いている。一団は中央に三人の若い女、それを取り囲むようにして十名余の屈強な男たちという構成だった。
似つかわしくない、というのは、三人の女たちの姿であった。彼女らはこの真昼間の往来にあって、革製のレオタードを着ており、太ももや二の腕が剥きだしの露出度の高い格好であった。
しかも、両手を背中に回した状態で手錠をかけられ、腰には腰縄を巻かれて拘束されていた。腰縄は後ろの女の腰縄に、いわゆる数珠繋ぎにつながれており、最後の縄尻は取り囲んだ男の一人が手にしていた。
女たちの身体は、ゴミのようなもので汚れていた。また、ところどころに小さな傷があって、血がうっすらと滲んでいる。


女らの周りを取り囲んでいる男ら(役人)の一人が、怒鳴りつける。

「さっさと歩け!女賊どもがッ!」
 
帝都の民の多くは、その格好で女たちが盗賊であることを察した。このような肌も露わな装束を着るのは、盗賊・暗殺者・密偵といった裏稼業の女しかいない。
そして、一目見れば分かることだが、彼女らは囚われの身である。かつては夜の街を颯爽と駆け抜けたであろう女盗賊達だが、今では官憲の手に墜ちて拘束され、役人と警備兵らによって引き回されているのだ。

王国刑法では、引き回しは公開処刑の付随刑である。更に言えば、35歳以下の女囚の処刑はベルトラン処刑場にて執行すると決められている。
つまり彼女らは、処刑される為に『かの高名なる』ベルトランへと向っている最中なのだった。

年の頃は20代前後であろう女たちは、皆なかなかの美人であった。三人三様特徴はそれぞれであるが、似たような雰囲気を漂わせているのは、三人が姉妹だからである。
彼女らは、姉妹の母親を頭領として小規模な盗賊団を形成し、盗み働きをおこなっていた。

「あれが『黒猫一家』か。頭目の母親ともども、とうとう捕まっちまったか」
「娘らの方は、ウワサ通りの若い女だったな!こりゃまた、眼福が期待できそうだな」
 
女囚の引き回しがあると聞いた住民が、道の端を埋め尽くしていた。囚人、特に女囚の引き回しや公開処刑があると聞くと、仕事を休んででも見物するというのは、この街に形成された独特の文化であった。
民衆らは、罵倒と嘲笑、そして小石や生卵、腐った野菜などを投げつけることで、女囚たちの屈辱をいや増す。女たちが汚れているのは、その為だ。
ただ、『処刑文化』とでも言おうモノが熟成しているこの街では、激しい投石でむやみに女囚を傷つけない、などという不文律も守られていた。



「ほらほら!さっさと歩けって言ってるだろうが、この惨めな雌犬どもがッ!」
「きゃあぁッ!?」
 
役人のうちの一人が、手にした鞭で先頭を行く女の尻を打ち据え、先頭の小柄な女は身体をビクンッ、と跳ねさせ悲鳴をあげた。

「なっ、何するのよ!?私の妹に酷いことしたら許さないわよッ!」
 
一番後ろを行く、三人の中では最年長と見られる女が声を荒げた。
やや鋭い目付きをしたその女は、三人の長姉エメリナである。引き廻しの最中でも顔を前にあげて、野次馬を睨みつけながら歩いていた彼女は、末妹のマリーカが無残に鞭打たれているのを見かねて、役人に抗議の声をあげたのだが……

    
    
「酷いこと?許さない?……フハハハッ!」
 
マリーカを打ち据えた役人は、頬を歪めて愉快そうに笑う。

「ちょっと尻をぶったくらいで、『酷いこと』なんて笑わせてくれる。お前ら今から、鞭打ちなんぞ比べものにならん目に遭うんだぞ?」
「くッ……」
「それに、俺のことを『許さない』とか言っているようだが、そんな惨めな姿で、どう許さないんだ?哀れな女盗賊よ」
 
歯噛みして睨みつけてくる長姉の視線を無視して、道の端を埋める群衆に向き直ると大声で言う。

「さあさあ、忠良なる王都の民草よ、ご覧あれ!これな女どもが、王都の夜を騒がせた女盗賊団だ!母親を頭目として、夜な夜な王都の……」
 
役人のこの口上は、これで今日三回目だ。引き回しの最中、時折このようにして三姉妹の略歴や罪状、そしてこれから待つ運命を得意げに民衆に教える。

「……しかし、この世に悪の栄えたる例(ためし)無し!ついに正義の代行者たる王都警備隊の手に堕ち、本日これより、哀れ公開絞首刑となる!」

野次馬たちは、その口上を受けて歓声と拍手をあげ、女囚らに罵りと嘲弄の声を投げつける。

「おうおう。王都の夜を騒がせていた例の女賊集団も、とうとうお縄となったか。惨めに緊縛されてベルトラン送りたぁ、良いザマだ」
「結構、荒稼ぎしてたって言うけど、いよいよ年貢の納め時か……それにしても、若い女の引き回しは、いつ見ても良いモンだ!」
「しかし、三人ともかなりの上玉で年も若い。やっぱり牢では、下級役人どもにたっぷりとヤラれたんだろうなあ」
「そりゃ、そうさ。捕まった女賊なんて、肉便器以下のか価値しかねえだろ。あ、あとは吊るされて惨めに踊るダンサー程度の価値はあるかぁ、ガハハッ」
「おいコラァ、雌犬どもよ!ベルトランで吊るされるんだってなあ?今どんな気持ちだ?言ってみろよ!」
「そんな若い身空で、こんなに惨めに晒し者の引き回しにされちゃってよぉ。さぞや恥ずかしいだろう?ハハハッ!」

その言葉は、必要以上に苛烈で無慈悲、かつ扇情的だ。
厳格な身分社会の下層にあって、重税と強権的政策に苦しむ民衆は、常にその鬱屈した感情のはけ口を求めている。そういう時に為政者から与えられたエサが、この女囚たちなのである。
民衆は、『社会秩序』とか『因果応報』とか『法の正義』とかいった錦の御旗を手にして、絶対的に優位な立場となって罪深い女たちを貶める権利を与えられるのだ。

たまったものではないのは、民衆に与えられたエサである女囚たちである。

「くッ……畜生ッ!」
「姉さん。言い返しても、悔しがるところを見せても、連中を悦ばせるだけよ」
 
気の強いエメリナは、民衆に言い返そうとするが、次女のリアンナに止められる。
 
彼女が言ったように、エサである女たちは、ただ耐えるしかない。ヘタに言い返せば、それは民衆の嗜虐心を煽って罵声が激しくなるだけなのだ。
ご同業の女囚の引き回しを数多く見てきたエメリナも、それは承知していた。

「……」「……」
 
女囚らは怒りと屈辱に震えながらも、口を閉じて、投げつけられる罵声と小石・ゴミに無言で耐えながら歩く。
いかに罪を犯したとは言え、若い女に必要以上に恥辱と痛苦を与える酷い仕打ち。結局これは、犯罪者への懲罰を口実にした、民衆への好色かつ嗜虐的なサービスなのであった……。
 
このようにして、一行は街の主要な通りを歩き回り、3人の女をさんざ見世物にしてからようやく刑場へと向かうのだった。


(処刑前の嬲りのこと)
一行がベルトランに到着したとき、彼女らを待ちわびていた群衆は2千人。ベルトランの満員札止めである。
銀貨二枚という、庶民にとっては決して安くない入場料を払ってでも、女盗賊たちの公開処刑を観たいという連中であふれかえっていた。

また、処刑場裏手の囚人用出入り口の付近には、中に入場できずにあぶれた連中が、せめて女囚の姿だけでも見ようと、まるで『入り待ち』のように一行を待ち構えていた。

「おおッ!?来た来た。噂の盗賊姉妹のご到着だぜ。三人とも美人だな」
「ああ、悪くなねえ女どもだな……ちぇッ、入場券を買いそびれたのが悔やまれるぜ」
「畜生!!雌犬ども。吊るされた手前らの惨めなダンス、見たかったぜ!」

若い女の処刑見物という、当時最高級の娯楽にあぶれた鬱屈を当の女囚たちにぶつけるとことで、少しでも溜飲を下げようとする『入り待ち』の連中。
ここでも小石やら生卵やらをぶつけられ、汚され辱められる三人は小さく呻くような悲鳴をあげるだけ。

「くッ……」「うぅぁぁッ……」
 
そして、罵り声と小石と卵の舞う中を、歩かされて施設内に入らされるのだった。

ベルトラン処刑場内に入ると、一行はまず、建物の中の控室のような場所に通され、戒めを解かれた。そして、屈強な警備兵数名の手によって、盗賊衣装を脱がされる。

「ひっ……ま、また犯される!?嫌ッ!やめてッ!」
「ああぁ?!ち、畜生……何すンのよッ?!このゲスどもッ!」
投獄中ずっと、機会がある毎に下級役人らにレイプされてきた虜囚らは、今回も当然のごとく凌辱されると思い、必死で抵抗する。

「処刑前に、その汚れた身体をきれいにしてやろうってだけだ。無駄な抵抗すると、本当に輪姦するぞ?」

暴れる彼女らに、役人の長(処刑執行官)が苦笑しつつ言う。

濡れた手拭いを持った身分の低そうな女が六人、一人の女囚につき二人がかりで、その身体を拭いてやる。
汚れがかなり落ちたところで、侍女らのうち三人が、手拭を剃刀と剃毛用クリームとに持ち替えて、それぞれの女囚の前にしゃがみ込む。

「な、何を……」
 
その意図を察したリアンナが、首を左右に振って身体を仰け反らせるが、警備兵に押さえつけられる。

「大人しくしてないと、大事なところを怪我するぜ」
「なぜ、こんなことをする必要があるのよッ?!」
「ふふふ、罪を犯した女を徹底的に辱めて、一片残らず尊厳を剥ぎ取って見せしめにしてやるのが、俺の仕事だからな」
 
その言葉は、あながち嘘ではない。王国の法により、処刑執行官は処刑される女囚の処遇の全権を与えられている。その権限は『女囚を辱め貶めて、その惨めな姿を民衆に見せ付けることで社会秩序を維持する』という目的の為に行使されるのだ。
無論それは建前であり、実際のところは、何かと不満の多い民衆へ提供する娯楽としての処刑を、より無残に、淫靡に、センセーショナルにする為の行為なのだが。   
  
 
    
侍女たちは手馴れた様子で剃毛クリームを塗り、冷たい剃刀を女囚の肌に当てる。

「ひぃッ……」
 
その冷たさの為かそれとも羞恥の為か、誰かがあげた悲鳴を無視して、三人の恥丘に当てられた剃刀が音を立てて滑り始める。

ジョリッ、ショリリッ……ジョッ、ジョッ、ショッ……ジョリッ

「う、うくッ……」
 
年若いマリーカなどは、目尻に涙を浮かべて蹂躙されていく自分の茂みを見詰めている。
気丈なエメリナですら、無残な禿山となった自らの恥丘を見て、情けない声をあげた。

「ああッ……こ、こんな」
 
何もかも奪われた三人の哀れな女囚は、その秘部を隠していた陰毛という最後の所有物までも奪いとられてしまったのである。

そして三人は、再び手錠に腰縄を掛けられた。全裸で、ツルツルに剃り上げられた恥丘すらも曝け出すその姿は、情けなくもあり淫猥でもあり、滑稽でもあった。

「用意できたようだな。では、処刑場に移動だ」
 
執行官の言葉に、リアンナが食い下がる。

「ちょっと待って下さい。このままの姿で?まさか素っ裸で歩いて行け、と」
「あ?……まあ、良かろう。お上にも慈悲はあるさ」
 
苦笑した執行官は、侍女に命じて、三人の腰に簡素な布を巻きつけてやる。その様子を見ながら、彼は皮肉っぽく笑う。

「『女の処刑は素っ裸で』ってのがベルトランの規定*なんで、どうせあとで剥ぎ取るんだが、な」

*この当時のベルトランでは、処刑時は全裸が原則であった。

三人は、全裸の身体に腰に布切れを一枚巻きつけられただけの、乳房すらも曝け出した屈辱的な姿で、屋外の処刑場に引き出された。
 
女賊たちの姿が見えた途端、残酷で無慈悲な期待を抱きつつ彼女らを待ち侘びていた見物人から、歓声が弾ける。

「いよッ!待ってたぜ、雌猫ども。吊るされてブザマに踊る準備は出来てるかぁ!?」
「すでオッパイ丸出しとは、サービス良すぎだろ。露出癖でもあるのか……それにしても、三人とも良いカラダだ」
「女盗賊なんて、普段の格好からして露出狂みたいなモノですわよ……あの一番若そうなのは、まだまだ肉付きが薄くないかしら?」
「いやいや、あのくらいがちょうど良いンすよ……ああ、むしゃぶりついて、さんざんにレイプしてやりてえなぁ!」
「だよな。どうせ吊るされてユルユルになっちまう尻孔と女陰なんだしよ、その前にオレらに下賜してくれンもんかね?」
「今回も業者に払い下げるみたいだから、屍肉の孔でよければタダでファックできるハズだぜ」

屈辱的な歓声に迎えられて、恥辱と不安と怒りに震える三人。
彼女らは(ここの女囚すべてそうだが)、尊厳ある人間とは見なされない。人間未満の犬猫、畜生としての扱い……そもそも『生物』としても見られていないかもしれない。民衆の日々鬱積する不満のはけ口、吐き出されるされる好色な嗜虐の受け口である便器のようなものだ。
否、見物客の誰かが言ったように、彼女らは死後、処刑された女囚の死体を加工する専門業者に払い下げられ、街角に置かれて数多の民衆にその死肉の孔を犯される。『便器のようなもの』などではなく、本当に『肉便器』となる運命なのだ。

「くそッ……ゲスども、めぇッ」
「ね、姉さん……私、私……」
 
民衆の悪意と好奇に満ちた歓声を受けて、さしもの女盗賊も、その辺の若い街娘のように震えている。

公開処刑場は、屋外にあり、直径が200mくらいの円形をしていた。その真ん中に処刑台が設置されており、その周りに簡単な柵が設けられて、見物人と処刑台を隔てていた。処刑台は木製で、一辺が6mくらいの正方形、高さは2mとやや高めであるが、これは後方の見物人からも良く見えるようにとの配慮である。
三人はその処刑台の上に登らされた。三人の眼前には、三本の縄輪がブラ下がっている。彼女らの首を括りその命を奪う為の、絞首索であった。

「ひぅッ……」
 
三人の中でも一番若いマリーカが、縄輪を見て顔を蒼ざめさせ、裏返った声を漏らす。
リアンナは声こそ上げないものの、眉を八の字に歪めて目をソレから反らせ、エメリナは縄輪から目を反らさず、まるでそれが仇敵であるかのようにキッと睨みつけた。

「ベルトランにお集まりの善良なる王国の民らよ、しかと見よ!これなる女どもが、盗賊エメリナ、同じくリアンナ、マリーカである。本日これより、ベルトランにて絞首刑となる!」
 
執行官が、集まった観衆に向かい高らかに宣言すると、彼らはそれに応えて大歓声をあげた。

「ほおおぉっ!!待ってましたぁ!!悪辣な女罪人に正義の鉄槌を!!恥知らずな牝豚どもを屠殺しろっ!」
「雌猫シーフの醜態、期待してるぜ!!テメエら、しっかりと足を挙げて、踊り狂うんだぜ!」
「ビッチども!すましてねえで、何か言ってみろよ!!まあ、何を言っても、そんなオッパイ丸出しのカッコじゃ、お笑い種にしかならんが」
 
無数の群衆が、口々に悪意と嗜虐を込めた言葉を、処刑台上の三人に向けて放つ。それは矢のように、女たちの心を撃ち、彼女らの恥辱・恐怖をいや増すのである。

執行官が合図すると、処刑の準備が始まった。警備兵が女囚らの周りを取り囲んで、手錠を外すと、麻縄で後ろ手に縛りなおす。麻縄は手を背中で固定して、さらに乳房の上と下とを通って、女たちの肉体に巻きついていく。

「く、むっ……」「はぁっ……くぅ」
 
胸部を圧迫されて、思わず声を漏らしてしまった女囚たち。剥き出しの上半身に縄掛けされ、乳房が上下から絞り出されるように緊縛され、歪にそして卑猥に形を変えている。
女囚を縛った警備兵らが、背後にまわってその腰布に手をかけた時、何をされるか悟った彼女たちは小さく抵抗の声をあげる。

「あッ……」「う……い、嫌ッ」
 
が、そんなモノは無視して、バッと布切れが剥ぎ取られて恥丘が曝け出されると、女囚らは羞恥に身体を硬くし、観客は歓声を弾けさせた。

「おおぉッ!!とうとう素っ裸か。『元』女盗賊が、今や惨めなモンだ……ン?全員、陰毛がみえねえな。剃りあげられちまったか」
「おい!牝豚ども!素っ裸にされ、アソコの毛までツルツルに剃り上げられちまって、イヤらしく緊縛されて晒し者にされたご気分はいがかかな~!?」
 
女たちの裸に狂喜し興奮する観客から、野次と拍手が鳴り止まない。
彼らは、単に女の裸が見られるからこんなに興奮しているのではない。酒場のストリップ嬢が全裸になっても、ここまで興奮しないだろう。
『颯爽と夜の街を荒らし回っていた女賊が捕まってベルトランに引き出され、惨めにその全て曝け出される』というその事実が、その落差が、彼らのサディスティクな性欲を刺激するのだ。

三姉妹のその首に、手際よく縄の輪が通されて、処刑の準備はほぼ完了をみた。あとは台から突き落とすだけで、縄輪が絞まって、女囚を絞め殺す。
突き落とされた時の落差が大きいと、衝撃で頚椎が折れて即死してしまうこともあるのだが、執行官らはそんな『ヘマ』をやらかすほど素人ではない。

「心配しなくとも、頚椎が折れて即死しないように、縄の長さは慎重に調節してある。窒息の苦悶をたっぷり味わいながら死にな」
 そう言いつつも、執行官はすぐに処刑を開始しようとはしなかった。



「さて、それじゃあ……最後の仕上げだな。」
 
実はまだ、処刑の準備は残っていたのだ。まだこの程度では、女囚への辱めが足りない、と言うのである。絞め殺す直前の若い女を全裸にして、乳首も剃毛した恥丘も、何もかもを丸出しにして晒し者にしていてもなお、更なる屈辱を与えようというのか?

「手前らを、恥知らずな盗人女の最期に相応しい格好にしてやらないと、なあ?」
「今でも十分だろっ!これ以上、どう相応しい格好にするって言うのサ!?」
「も、もう……良いじゃないですか。私たちは嫌というほど、辱めを受けています!」
 
執行官の言葉に、たまらず抗議の声をあげる長姉エメリナと次女リアンナ。
だが彼は、その声を無視して、手に筆を持った三人の部下を、それぞれの女囚の前に立たせた。

「よし、手筈通り、書いていきな」
 
命令を受けた三人の部下は、いきなり手にした筆を女囚の剥き出しの肌に走らせる。

「い、いやっ?!何するの!」
「ちょ、ちょっとっ……何を書いてッ?」

抵抗したり逃げたりしないように、女囚一人につき二人の警備兵で押さえつけている。あっと言う間に、女たちの柔肌には、彼女らを辱める文字や図形が刻まれた。

例えば、リアンナの腹には『どうか私を吊るして!』
エメリナの下腹に『ご自由にお使い下さい』
マリーカの腹には『私の首吊りダンスを見て下さい!』 
三人全員の身体のどこかに男性便所のマーク。
全員の右の太ももに『正』のマークが書かれていたが、これは遥か東国の文字で、レイプされた回数を示す記号である*

身体中に屈辱的な落書きをされた三人。
ただでさえ屈辱的な姿に、輪をかけて惨めにされた彼女らに、観衆の視線が突き刺さる。
すでに、ここまでくれば公開処刑と呼べるようなシロモノではない。罪を犯した女を辱め、おとしめ、嬲り抜いて徹底的に生き恥をかかせ、その上で縊り殺して死に恥まで晒させる、嗜虐のショーであった。

*この記述には若干の誤解がある 


(マリーカの最期)
「さあて、どうしようかな?三人いっぺんに吊るすか、それとも一人一人か?」
 
迷う素振りをしつつ、処刑直前の女囚の様を観客に晒して見世物にしている執行官。あるいは彼の心情としては、自身が作成した三個の快心の芸術作品を、ギャラリーに提示しているようなものだったかも知れない。

信じられないほど濃密な悪意と嗜虐の中心で、三人の女は三者三様に処刑の刻を待つ。
末妹でまだ十代のマリーカは、真っ青になった顔に今にも泣きださんばかりの表情を浮かべ、足を極端に内股にして、膝はガクガクと震わせて立っているのもやっとだ。
次女のリアンナは、妹ほどではないにせよ、不安と恥辱に顔を曇らせ、その裸身を小刻みに震わせていた。
長姉のエメリナは、自分に嗜虐と好色な視線を投げつけてくる連中を、逆に睨み返していた。

「まずは……年の順だな。妹から逝ってもらうか」
 
そう言って執行官は、マリーカのすぐ後ろに立ち、その両肩を掴む。

「ひッ?!」
 
肩を押され台から落とされたとき、彼女の終わりが始まる。その絶望感と恐怖に、青くした顔に汗をビッシリ浮かばせて、ガチガチと大きく震えるマリーカ。
執行官はその剥き出しの細い肩を両掌で掴み、そこから直に伝わる彼女の震えを感じ、愉しんでいるかのようだった。

「待ちな……私から吊るしなよッ!年の順からって言うなら、私からだろッ!?」
 
恐怖に震えているマリーカの様子を横で見ていた長姉のエメリナが、たまりかねたように言う。

「やめとけよ。吊るされた二人の姉の醜態をさんざ見せられてから自分の番って、そっちの方が惨いだろう?最初に逝ける方が、まだ幸せってもんさ」
 
皮肉っぽい嘲笑とともに吐き出された執行官の悪意と揶揄に、言い返せずに歯噛みをするしかないエメリナ。代りに妹の方に向き直って、叫ぶように彼女の名を呼んだ。

「マリーカ!ああ、マリーカぁッ!」
 
リアンナも涙声で、妹の名を呼ぶ。

「マリーカぁ!ひ、ひどいわ。こんなのって……マリーカ」
 
それに応じるかのように、マリーカも二人の姉の名を呼び、助けを求めた。

「リアンナ姉さん!!私、死にたくないッ!!私まだ死にたくないよおッ!!エメリナ姉さん、助けてッ!怖いッ!!ひぁああぁッ!やぁッ、ヤダヤダヤダああぁッ!!」
「マリーカ!怖くなんかないわ。私達もすぐに逝くから!」
「マリーカ、ごめんなさい。何もできないリアンナ姉さんを許して……」
 
互いに悲痛な声でに呼び合う姉妹。

「おっ、さんざもったいぶってたが、いよいよ吊るすか!一番若えのからヤルみたいだな」
「さっさと吊るせよ!こっちは待ちきれずにさっきからビンビンで、もうイっちまいそうなんだぜ?!」
「うぅおおおおぉぉッ!!吊るせ!!早く吊るせぇッ!!ビッチ盗賊の首吊りダンス、早く見せてくれよおおぅッ!」
 
三姉妹は、互いに1mくらいの近い距離で立たされているのに、呼び合う声が大歓声に掻き消されそうになる。それほどまでに凄まじい悪意と嗜虐の大歓声と熱狂が、刑場を包んでいる。
見物客の男の中には、興奮のあまりズボンを下ろして、屹立した陰茎を握り締めて、マリーカが吊るされるのを今か今かと待ちわびている者もいる。吊るされた彼女がもがくのにあわせて、ソレを扱いて溜まった欲望を吐き出そうという意図なのだろう。

「こ、こんなぁ……こんな酷い、酷いよぉッ……嫌だ、あああ……」
「それじゃ、そろそろ逝こうか?覚悟キメな……おらよッ!と」
 
観衆の嗜虐的な期待を一身に受け、怯えてすすり泣いていたマリーカの肩を、執行官が勢い良く押して、台から突き落とす。

「ひいいぃぃッ……はぎぃええぇッ!?」
 
落下していくその身体を、首に巻きついた縄が絞られて、空中で留める。濁った悲鳴を喉の奥から絞り出し、両足が失った足場を求めるかのように、虚空を激しく彷徨った。

「ああぁッ!?マリーカぁッッ!!」「い、いやああッ!!」
 
エメリナとリアンナが悲鳴をあげる。だがそれは……

-ウゥオオオオオオオッッ!!!!!-

観客らの上げる爆風の如き大歓声が、彼女らの声を掻き消した。

「よっしゃああああぁっ!!待ってましたっ!!盗賊娘の惨めなダンスショーの始まりだ!!」
「牝シーフ、素っ裸で吊るされてどんな気分だ?!……ほら、もっと足挙げろや!!」
「もっと激しく踊れ!!ほら、イヤらしくケツ振って俺らを楽しませろ!!」
 
絞られた絞首索が彼女に更なる苦悶を与え、その動きが激しくなっていく。
くしくも観客の期待に応えたかのように、足を高く上げ、腰をくねらすかのような動きで激しくもがく。まだ少女らしさの残る、愛らしいその顔は大きく歪み、口を大きく開けて眼を見開き、その苦悶の強さを如実に訴えていた。

「んんぬんぎぎぎぃぃッ……だっ、だずげぇ……がぁげぇッ!……ぐる、じっ……んげごぼぉッ!」
 
空中を舞いもがきながら、その苦悶に満ちた最期の哀れな有り様を、大勢の見物客に晒す。
二人の姉たちに比べれば未発達ながらも、そこそこの大きさの乳房を振り乱し、剥き出しの白い尻肉を揺らす。盗賊稼業で鍛えたスラリとした脚を激しくバタつかせると、陰毛を剃りあげられて無防備になった恥丘から女の最も大事な部分が見え隠れしている。

「おごぉぉッ……だず、でぇぇッ……だじげ、ぇぇれッ……んがぉッ……おぇがびぃッ……だず、げげぐッ!」
 
濁った声で哀願を漏らしつつ、助けを求めるように視線をさ迷わせ、二人の姉たちを探す。その顔は苦悶と恐怖を刻みつけ、大きく歪んでいた。   
    
   
「マリーカッ!!マリーカッ!!」「ああっ!マリーカぁアアアッ!!」
 
姉たちの悲痛な叫びは、歓声と罵声と嘲笑にかき消され、ほとんど聞き取れない。

「はははッ!期待通りに足挙げて、マンコ丸出しにして踊ってくれてやがるぜ……しかし見ろ、ひでえ面になってきて、惨めなモンだ。勃ったチンポもヘタっちまいそうだよ」
「いやいや!ああいうブザマヅラじゃねえと、俺は興奮しないんだ。もっと惨めなアヘ顔晒してくれよ!マリーカちゃんのみっともないアヘ顔思い出して、後で何度も何度もオナニーしてやるからサ!」
「こんな下品な殿方のマスカキのネタにされながら死ぬなんて、本当に女シーフって、ゴミみたいな存在よね……あらあら、いやですわ。あんなに腰振りたくっちゃって、はしたなくて浅ましいこと!」
「そんな若い身空で素っ裸で吊るされて腰振って、俺らのオナペットにされながら死んで逝く気分はどうだ!?さぞや恥ずかしくて、辛くて、情けないだろう?」
 
若い女の恥辱と絶望と苦悶の様を見て喜ぶサディスト達に、その最期を見詰められているマリーカ。その死には、尊厳とか安らかさなどというものは、一切許されない。
だが、ある意味で幸福なことに、彼女の意識はこの時点ではほとんど消失しかかっており、自らの悲惨な状況を感じることはできなくなっていた。

「あぁ……ぁおぁぉぅぅ……ぃぇぁっ……」
 
大きく開かれた目は焦点を失い、おそらくその眼は何も映してはいないであろう。同じく大きく開いた口からは、わずかな呻き声と一緒に、泡と化した唾液を大量に噴き出している。激しかった苦悶の足掻きが、段々と弱弱しくなってきた。彼女の『終りの刻』が近づいているのだろう……そう思われた時

びくんッ!びくびくびくんッッ!!
 
突然、再び激しく肉体が痙攣しだす。その死に逝く肉体が、最後に残ったエネルギーを全て吐き出してしまおうとしているかのような激しい肉体運動だったが、それも徐々に弱弱しくなっていく。

ブシャアアアァ~ッ!
 
音を立てて、股間から黄色い液体が迸らせる。括約筋がその役割を果たせなくなり、尿道が緩んで小便を漏らしたのだ。空中で身体をもがかせながらの失禁は、その液体を辺り中に撒き散らすこととなった。

「おおおォッ?!ついにションベン漏らし始めたか……っにしても、派手に撒き散らしやがって!汚え女だ」
「いいぞいいぞ、マリーカちゃん!分かってンだろう?次はクソだぞ。期待してっから、さっさとヒリ出せよ!」
 
その期待に応えたワケでもあるまいが、ほどなく脱糞の醜態も見せるマリーカ。肉門が決壊し、ブリブリッと音を立てて、白い尻から黒ずんだ糞便を吐き出す。

「ひっでえな、オイ。可愛い顔して、黒々としたデカいのを漏らしやがって!この恥知らずの雌犬が!」
「おお、ひどいひどい……こんな大勢の目の前で糞尿撒き散らすなんて、本当にビッチシーフの死に様って、最悪ですわ!」
 
観衆の罵声も、その耳に届いてはいなかった。糞塊を吐き出したマリーカの肉体は、急速に動きが鈍くなってくる。


「……」
 
もはやその口からはうめき声も出ず、ただ白い泡を吹き出しているだけ。あどけなさを残した可愛げのあった顔も、完全に白目を剥き、舌を長く突き出した惨めなアヘ顔となり、完全に脱力した肉体はブラブラと宙に虚しく舞っている。
マリーカの生命活動と比例するように、その興奮を鎮静化させていく観衆。
彼らの前に執行官が進み出て、吊るされたマリーカの傍らに立つと、大袈裟な素振りでその首筋に手を当てて脈を計ると*、大声で宣言する。

「女盗賊マリーカは死んだ!正義は執行されたのだ!」
 
宣言を聞いて再び群集の興奮が高まり、拍手と歓声が沸き起こった。

「おおおッ、この世の悪がまた一つ滅んだ!お見事な処刑でしたぞ、執行官殿!!」
「王国万歳!!ベルトランに栄光を!」
 
歓声と拍手が沸き起こり、執行官とベルトランと国家を称賛する声があがるのは、いつものこと。
普通ならここで女囚の処刑は完了、となるのだが、この処刑においてはそうはならなかった。

「それでは、お集まりの良民諸君に、この女が確実に処刑されたという証人になって頂こう!」
 
そう言うと、執行官は部下に命じてロープを巻き上げて、吊り落とされたマリーカを自分と同じくらいの高さにまで引き上げた。そしてその身体を掴んで観衆に対し背を向かせると、恋人を抱擁するかのように彼女の身体に両手を巻きつけ、尻の辺りに指先を置いた。
 
おおおおッ!

と、執行官の意図を察した一部の見物客(年季の入ったベルトラニストたち)が歓声をあげる。

「お集まりの忠良なる王国民の諸君!女賊マリーカの処刑完了の証、とくと御覧あれ!」
 
そう言うと、マリーカの尻肉を両手で掴んでぐいッと割り開く。
尻肉の奥に大事に隠されてきた、最も恥ずべき孔が……だらしなく括約筋が弛み切り、ポッカリと大穴を開けたマリーカのアヌスが、衆目に曝け出された。

 

 
「おおおおぉッ!!肛門が開き切っている!間違いなく死んでいるな!」
「正義は執行されたぞ!俺たちが証人だ!!」
 
この芝居がかったやりとりは無論、女囚の処刑を彩る為の演出の一つにすぎなかった。
縊死体は全身の孔という孔が開く。よって、女囚が完全に死亡したという証拠に、その肛門を曝け出して観衆らに検分させる……*2
そんな建前の元に、女囚の排泄器官すらも晒しモノにして徹底的に辱めて、見物客を愉しませようということなのだ。

「やぁッ!!やめろッ!!そんなこと……そんな酷いこと、やめろッ!ゲスがああぁッ!!」
「ああぁッ!なんてことをッ……やめてあげてッ!!い、妹の身体をいたぶって、辱めないでッ!」
 
姉二人の哀願など、聞く耳持つ者など一人もいない。
彼女らの妹に、興奮と劣情に満ちた、下品で激しい罵倒を投げつけ続ける。

「ヒュー!ヒューッ!!とうとうケツの孔まで広げられて、俺らにしっかり晒されちまったな!?マリーカちゃんよォ、恥ずかしいか!?悔しいかぁ!?」
「うっわぁッ……アヌス広げすぎですわよ、あのビッチ。拳くらいなら入りそうなくらいの大穴が開いてますわ……ほんっとッ、女シーフなんて最低ですわね!」
「恥ずかしい孔まで曝け出して見世物にされて、テメエは本当に恥ずかしい存在に成り下がっちまったなあ?!あとは俺らが死肉便器として、大事に使ってやるよ!」

*この時点では蘇生する可能性も十分にあるし、ただの儀式(パフォーマンス)である
*2同上、ただのパフォーマンスというかサービス



(次女の醜態)
「うっ、ううぅあああぁぁっ」
「畜生ッ……よくも、よくもッ」
 
舌を垂らして白目を剥き、全身の孔という孔を弛緩させて様々な汁を垂れ流して虚空に揺れるマリーカ。その無残な成れの果てを、衆目に余すところ無く晒している。
無残な妹の縊死体を前に、二人の姉は怒りと悲しみ、無力感と屈辱に肩を震わせて、嗚咽する。
だが、二人にもすぐに妹と同じ辱めが待っているのだ。

「さて、お次は……年の順で、リアンナ。お前の番だな」
 
言いながら執行官は、リアンナの後ろの立ってその肩を両手でしっかりと握り締めた。

「ひゥッ?!」
 
極限の恐怖の為か、呼吸筋も含めて全身の筋肉が収縮し、しゃくり上げるような声をあげる。

「リアンナッ!?……もう、やめてッ!!これ以上私の妹たちにひどいことを……」
「だ、大丈夫よ、姉さん。心配……し、しないでッ」
 
震えながらもリアンナは気丈に姉を制すると、蒼ざめた顔を執行官に向けて、どもりながらも糾弾の言葉を投げつけた。

「あッ、アナタたちは、ゲスな卑劣漢よッ……と、捕えた女を弄んで、愉しむような連中の思い通りになんて……私は、ならないッ。命乞いなんて、しないからッ」
「ほう、そうかね?俺にはそんな風には見えねえんだが……今にも土下座でもしそうな顔してるぜ?リアンナ」
 
執行官が冷笑まじりに揶揄するのも無理はない。歯をカチカチと鳴らし、膝をガクガクと笑わせているリアンナのその言葉は、誰が見たところで虚勢以外の何物でもなかった。
 
野次馬たちも、そんなリアンナの様を見て、嗜虐心を高め、野次を激しくする。

「あいつ、妹よりもビビってんじゃねえの?小便チビっちまいそうな面してやがるぜ」
「それどころか、糞まで漏らしちまいそうだ……おいッ!リアンナ、まだ漏らすなよ!肛門しっかり締めとけや!」
「どうせ漏らすにしろ、台の上でより吊るされて空中で撒き散らした方が、派手で惨めさが際立ちますわよね」

「んじゃ、始めるかね」
 
罵声の中でも淡々と、しかしその内面にたっぷりの嗜虐心を隠しつつ、執行官は絞首刑を執行せんとリアンナの後ろに立ち、その肩を掴む。

「ひぃぅッ!?」
 
触れられた瞬間、ビクッと大きく身体を震わせる。

あとはマリーカの時と同じように、肩を押してリアンナを突き落とすだけで、彼女の無残な窒息処刑ショーが開幕する。

「はぁッ……はぁッッ……はふぁッ!……はッ、はッッ……ははひぃッ!」
 
無残で羞恥に満ちた死を前にして、全身を熱病患者のように震わせて、息を荒げさせる。
 
助けを求めるように視線を彷徨わせると、哀れに吊り下げられている妹の死体が視界に入った。

-ドクンッ!-
 
心臓が跳ねんばかりに脈打ち、息が更に苦しくなり、全身から汗が大量に吹き出る。

「ひぃッ!?……うあぁぁッ」
 
その無残過ぎる死体は、リアンナの心の中の『恐慌のスイッチ』をオンにした。執行官たちへ怒りや妹への憐憫と言った感情で押さえ込んできた恐怖が、一気に爆発する。
「いやあああぁぁッッ!!やだぁぁッ……い、嫌です!お願い、やめてッ!後生だから吊るさないでぇッ!!」
 
突然、大声を張り上げて命乞いを始め、身体をよじって暴れだすリアンナ。

妹の無残すぎる最期は、彼女からプライドや誇りを奪い去るに十分であった。

「あぁ……あぁっ、あんなブザマな姿になりたくない!あんな……あんなにお尻の孔ユルユルに開いて……あんなみっともないアヘ顔晒して死ぬのはやだああああぁぁッ!!」
 
いや、プライドだけではない。それ以上に彼女が大事にしていた、家族愛とか妹に対する思いやりといったモノも、消失させてしまった。
その死体を凝視しながら、そうとは意図せずにマリーカを侮辱する言葉を吐き続けて、命乞いを繰り返した。

「お願いですッ!!マリーカみたいになるのは嫌ぁあッッ!!殺さないでえぇッ!!あんな汚くて惨めな死に方、したくありませんんッ!!マリーカみたいに踊りながらウンチ撒き散らすだなんて恥ずかし過ぎる最期、絶対やだああぁッッ!!」
 
縊死という現実を見せ付けられぬまま死ねたマリーカよりも、リアンナの恐怖は大きかった。
妹の無残で屈辱的な死に様を眼前で見せ付けられて、その直後に自分もそのような目に会わされるというのだ。若い女がその恐怖と恥辱を爆発させても、無理はないかも知れない。
 
 
    
  
だが見物客たちは、リアンナが恐怖と恥辱に狂乱する様子を見逃さず、あざ笑い罵倒する。

「見苦しいぞ、リアンナ!テメエも妹と同じように、惨めに踊ってイキ面晒して、ケツの孔広げて死んで見せろや!!しっかり見ててやるぜ!」
「もちろん、マリーカよりもデッカい糞をひり出してくれるんだろうなあ?!妹ばっかりに死に恥をかかせるんじゃねえぞ!」
「俺はお前の処刑を、一番愉しみにしてンだよ!そのムチムチの身体をイヤらしくクネらせて、卑猥に踊り死んで見せろよ?」

執行官も、女囚の命乞いなど無視してさっさと突き落せば良いものを、あえて留めてその醜態を衆目に晒し続ける。

「見物の良民たちも、ああ言っているぜ?諦めて、そのキレイな顔を泡と鼻水塗れの汚れアヘ面にして、踊り狂いながら逝ってくれや」
「あああぁぁッ!?そ、そんなの嫌ぁッ!!ヤダヤダッ!死にたくッ、死にたくないですッ!!どうかお慈悲をッ!!お許しをぉッ!!私ッ、本当は……ホントは盗賊なんてやりたくなかったのッ!!」
 
涙を流して大声で命乞いを叫びながら、身体を捻って首から縄輪を抜いて逃げようとするが、兵士らに組み付かれてそれも許されない。

「いやだッ!!死にたくないッ!!死ぬのは嫌ぁッ!!アヘ顔になって、汚くなって、何もかも垂れ流しで死ぬなんてッ。ああぁ……ああ、せめて斬首に……首を刎ねてッ!」
「観念するんだな。テメエみたいな女シーフが斬首刑なんて、天地がひっくり返ってもありえねえよ*」

*当時の王国刑法によれば、斬首刑は貴族と一部の上級市民のみ(ただし男子に限る)に許された刑である

「ま、待ちなよッ……そのコは斬首にしてあげてッ!」
 
二人の間に、長姉エメリナの力強い声が割って入った。

「リアンナは……そのコは、本心じゃあ盗賊なんてやりたくはなかったの。それは本当よ!私と母さんに付き合って、イヤイヤ手伝ってただけで……」
「そんなそっちの事情なんて知ったことじゃねえ。それに言っただろう?賎しい女シーフを斬首にするなんて、仮に俺が許しても、王国の法が許さねえよ」
「じゃあ、ロープを長くして、楽に逝けるようにして……そ、その代わり、私をッ、私は……う、牛裂きか火炙りで、処刑して……そ、その条件なら……」
 
ロープを長くすれば、落下時の衝撃が増大し、頚椎が折れて即死する確立が上がる。囚人に苦痛と恥辱を与えぬこの方法は、執行官が温情として採用することが『ごく稀に』あるが、そのレアケースのほとんどは囚人家族の高額な袖の下あってのことだ。

金など用意できぬエメリナは、別の取引として自らが酷刑の極みとも言うべき牛裂きか火炙りになる、と言い出したのだ。

「ふむ、面白い提案だが、今さら処刑法を変更する時間は無いな。しかもそれが手間のかかる牛裂き火炙りっていうんじゃ、どだい無理な話だ」
「ね、姉さん……ばッ、バカなこっ、ことを……いぃッ、言わない、で……ひッ、火炙りに……なッ、なる、なんてッ」
 
ガタガタと震えるリアンナが、口の筋肉が麻痺したかのように激しく吃りながらも、姉を制止する。
いくら自らが恥辱と苦悶に満ちた最期を免れる為とは言え、姉を苦痛に満ちた酷刑に送り込む、などということができようハズもない。

「ごッ、ごめん、なさい。この期に及んで……取り乱してッ、しまって……あのコ……マリーカに、笑われて……しッ、まうわね」
 
恐怖と恥辱に、顔を真っ青にして全身を震わせつつも、姉に無理に笑顔をつくって見せると、執行官に向き直る。

「か、覚悟を、決めましたッ……どうぞ……つッ、吊るして、下さ……ぃッ」
「そうだな。お前の惨めな命乞いをいつまでも聞いていたいところだが、そうもいかん」
 
執行官が、リアンナの両肩に置いている手に力を込めると、自らの『終り』を悟って悲痛な叫び声をあげる。

「あああぁぁッ!?……はっ、早くッ!!早くしてッ!!早くっ、吊るしてッ!」
 
自分の死刑執行を必死で急かしているのは、さっさと始めてもらわないと、再び恐怖に捉われ、見苦しく暴れて命乞いを再開しそうだったからである。

「そんなに欲しがるンじゃねえよ。ホラ、お望み通り、イカせてやる……ぜッ!」
 
執行官はその顔に酷薄な笑みを浮かべて、リアンナの身体を台から突き落とす……!



「いぃひゃぁぁッ……」
 
悲鳴をあげながら落ちていくリアンナの身体。だがすぐに、首に巻きついた縄がその落下と声とを阻止する。

「ふぎぇごぉッ!?」
 
落下を急に止められた身体が反動で大きく跳ね、絞られた喉が悲鳴の代りに濁った声を吐き出す。
苦しさと恐怖で目をいっぱいに見開き、顔をしかめて、空中でもがき始めるリアンナ。 
その長身で肉付きの良い身体は、スレンダーな妹に比べると、吊られた時の『見栄え』が各段に良かった。

「凄えな!妹と違って、デカいオッパイがブルンブルンに揺れまくってやがるぜ……酒場の踊り娘のヌードダンスの何倍も卑猥だ!」
「なんて浅ましい姿なんでしょう。ホントにあの女盗賊、最低のビッチですわ。ホント、恥ずッかしいったらありゃしないわ!」
「ビッチシーフ!もっとはしたなく足を高く上げろ!お前の妹よりもイヤらしく踊ってみせろ!」
 
当然、観客らの罵声もより熱が入ろうというものだ。空中で無残に踊るリアンナを笑い者にし、その醜態に罵声をぶつけて、他人の尊厳を踏み躙る歪んだ快感に溜め込んだ鬱屈を晴らす。

「ぶぃぅッ……苦じぃぃッッ……ぶぎぐぅええええッッ!!助げぇでッッ……はぎぇぉッ!」
 
そんな連中の期待通りの無残な反応を-本人にその意志は無くとも-見せていくリアンナの肉体。
苦しさから口を大きく「O」の字に広げ、目を大きく見開いた、やや滑稽とも言える顔になってしまう。さらに口と鼻からは涎と鼻水が流れ始めて、無残さを際立たせる。
元々が端整な顔立ちの美人だっただけに、その落差の大きさが、一層に惨めさ醸し出していた。

無残なのは、顔ばかりではない。
縛られていない足は、自分の意志とは無関係に激しく跳ね上がり、剥き出しにされた股間の秘所まで見せている。狂おしく捻じりくねらせる上半身とあいまって、淫猥で情熱的なダンスを踊っているかのようだった。

「ぐぅべッ!……ぎゅぐぶぶぶぶうぅぅッ……がひぅッ」
 
喉の奥から苦悶に満ちた獣のような声が絞り出されて、大量の白濁の泡とともに吐き出され、鼻からは垂れ流される鼻水の量も増えて、口周りから顎にかけてを汚している。
全身の白い肌に苦悶の脂汗が浮び、日光を反射してテカテカと艶かしく光り、裸身を彩る。
覆う布も失く曝け出された大ぶりの乳房が、身体を激しくクネらせる度に、右に左にと大きく揺れる。タップリとした質量を誇りながらも、なめらかなラインを保っている尻肉も、乳房に負けじと激しく振りたくられ、まさに『ヌードダンサー』の如きだった。

「だぁッ゛……じ、げぇッ……だず、げッ……ぇぉごッ……ぐる、じッ……」
 泡と鼻水にまみれてドロドロになった口で、この期に及んでまだ命乞いをするものの、その言葉は濁っている上に弱弱しく、大歓声に掻き消される。

「マリーカはあっさり逝っちまいやがったけど、姉の方は結構粘るなァ。まだまだ元気に足掻いてやがらァ」
「アウトローのクセに、縛り首にビビって命乞いするような見苦しい女だからなァ。生にしがみついてンのさ」
「まあその分、俺らに長い時間、娯楽を提供してくれるってワケだ……ホラ、見てみなよ。あのイヤらしくて無様な踊り!」
 
観衆の誰かが呟いた通り、吊るされてから5分は経っているのに、彼女の『ラストダンス』は、なおいっそう激しさを増していく。なまじ体力に優れていたリアンナは、妹よりも長い苦悶の時間を味わうハメになっていた。

「くッ……」
 
女囚の最期の醜態に狂乱狂喜し、誰もが異様な熱気に当てられた興奮のルツボの中で、唯一苦渋の表情を浮かべているエメリナ。顔を顰め、悲壮感と屈辱と怒りに頬を赤く染めているが、それでも顔を背けたりせず、妹の無残な最期の刻を見守っている。
彼女もそんな無残な光景など見たくなかろうが、三姉妹の長姉としての義務感から、その無残な死に様を見詰めているのであろうか。

「ふへへッ……エメリナよ。もうすぐお前の番だな」
「妹の死に様見せつけられながら、素っ裸で自分の処刑待ちするってのは、どんな気分だよ?」
 
リアンナへの野次で満たされている場内だが、そんな中でもエメリナへの野次も忘れない者がいるのは、流石にベルトラニストというべきか。
しかしエメリナは、そんな連中の言葉など無視して、キッと胸を張って直立不動の姿勢でいた。
そして、その視線の先には、踊り狂うリアンナの無残な姿が……

「ひぎぶぐぅぅッ……」
 
眼球がグルリと裏返り、完全に白目を剥く。口から吹き零れる泡の量が異常なほど増え、鼻からは粘度が濃いドロリとした緑色の鼻水が大量の垂れ流しになってくる。
その身体も、今までのような激しく暴れるような動きから、小刻みに震えるような痙攣へと変ってきた。

「おッ……こりゃそろそろだな」
 
処刑見物に目の肥えた連中は、その様態の変化を見ただけですぐに察知する……女囚の最期が近いことを。
あの様子じゃあ、もうすぐ逝っちまうね。もうちょっとアイツの最期の醜態を見ていたかったな」

「まっ、あのメスは長くもった方だよ……おおいッ!リアンナ、まだ聞こえてるかァ?テメエもうすぐ死ぬンだぜ!妹に会えるなあ」
 
女の死を予感し、この素晴らしいショーの終演が近いことを悟った観衆も、野次や罵声を激しくする。

下品な野次を浴びつつ死に逝く哀れな女囚に、このとき意識はあったのだろうか。
小刻みに肉体を震わせる痙攣で、そのムッチリとした肉がブルブルと震える様子は、淫靡であった。先ほどまでの、全身を激しくくねらせる動きと対照的に、乳房や尻肉を細かくブルブルと揺らしている。大量に噴き出した涎や鼻水も、小刻みな振動でアチコチに撒き散らされている。

「…ぅぅ、えッ……げぇ、ぁッ……」
 
最早、大きな声は出せず、苦しげな呻きを喉の奥から漏らすリアンナ。
歪んだ欲望の視線と罵声を裸身に浴びつつ、苦悶の中で息絶えねばならないという想像を絶するその恥辱は、ついに頂点を迎えた。

じょおおぉッ……
 
突如、ツルツルに剃りあげられた股間のスリットから、水しぶきを迸らせる。縊死に至る過程の一つ、失禁が始まったのだ。

ジョババババアアッッ!!ブジョジョジョボボボオオッッ!!
 
激しい水音を立てて、小便がまき散らされる。クルクルと回転しながらの失禁で、そこらじゅうにリアンナの排泄液がふりまかれ、哄笑と悲鳴と失笑が沸き起こった。

彼女の恥辱の頂点は、見物客らの喜悦と興奮の頂点である。

「ふはははッ!!とうとうションベン漏らし始めたか!こりゃ、ホントにもうすぐ死ぬなあ」
「しっかりと糞もヒリ出せよ!マリーカ以上のデカいのを、みんな期待してんだからなッ!」

「……カ、ッ……ハッ、ァッ……」
 
無残に白目を剥き舌を長く突き出した絞首アヘ顔を晒し、小刻みに肉を震わしながら空中で回転しながら、生命の灯を消しつつあるリアンナ。
だが、妹と同じく、その死に静謐さや安らぎなど一切許されない。そして、哀れな女囚の最大の恥辱の瞬間が訪れた。

ブバッ!ブホッ……ブビィッ!!
 
品の無い破裂音が、女の尻の間から響く。脱糞を思わせるような音だったが、それは放屁だった。
惨めな小刻み痙攣をしつつ、腸内のガスを音を立てて放つリアンナ。そして、ガスとともに、ついに彼女のもっとも恥ずかしいブツが、緩んだ肛門から顔を出す。

ムリムリムリュッ……
 
黒々とした、やや硬めの糞便が吐き出されてくる。
ムチムチとした白く美しい尻肉の間から、それとは対照的な黒い汚物がニュウッと伸びていき、ボトリと地面に落ちる。

「おおッ!!ついにクソ漏らし始めたぜ、アイツ!!黒々としたモノをヒリ出しやがって。恥知らずの牝シーフが!」
「リアンナ!!お前、こんな大勢の前で糞漏らして恥ずかしくないのかよ!?オラ!もっとしっかりケツの穴締めやがれ!!」
「ホンッット、嫌ですわねぇ!あのクソビッチ。あんなに肛門ユルユルにしてッ、恥じらいもなくアヘ顔晒して」
「それにしても、見事な一本便だな。40cmはあるんじゃないか?」
 
女囚の処刑というイベントの中でも最大の見せ場に、場内は一番の喧噪に包まれる。

ぶぶッ!ぶぶびびぃっ!!ぶりゅむりゅりゅうっ!!

       
    
その歓声と野次と嘲笑の嵐を一身に浴び、リアンナはもはや呻き声すら出さずに、小刻みなリズムで踊りながら肛門を緩ませて、堰を切ったように大便を吐き出し続けるのだった。



黒猫一家の処刑・後編その3
処刑直前
 
三姉妹の公開絞首刑もいよいよ最後の一人、長姉のエメリナの番となった。

「いよいよ、お前一人を残すのみとなったな……いったい、どんな死に様を見せてくれるかな?」
 
酷薄な笑みを浮かべながら、執行官が最後に独り残った女盗賊の後ろに立つが、長姉であるエメリナは、二人の妹たちよりも気丈で冷静な態度を保っていた。

「そんなに面白いモンじゃないわよ……さあ、早く吊るしてッ」
 
二人の妹の惨死に目尻には涙を浮かべ、顔色を蒼ざめさせてはいるが、執行官を横目で睨み、毅然として言い放つ。

そんな女囚の態度に、見物人達は不満と侮蔑の罵声で応えた。

「おいおい、もっと泣き喚いてくれないとツマンねーぞ!」
「妹二人は、しっかり踊って糞まで漏らして死んでみせたんだ。長女のお前は、妹以上の醜態晒して見せろ!」
「お前のみっともない命乞い、期待してるぜ……その虚勢も、いつまでもつかな?」
 
その声の通り、見物客たちは、女囚が惨めに命乞いするのを期待している。幾度と無く処刑されていく女囚を見てきた彼らだが、この土壇場で取り乱さない若い女など、極めて稀だった。気丈な態度を崩さないエメリナも、どうせすぐに恐怖と屈辱に負けて、取り乱して惨めに助命を請うだろう……。

だが、彼ら期待にエメリナは応えてやらなかった。その罵声を平然と聞き流しながら、傲然と剥き出しの胸を張る。

「ふんッ……時間の無駄よ。こちとら吊るされるの覚悟の上で、盗賊稼業やってたんだし、今さら助かろうなんて思っちゃいないわ」

その時、後ろから、執行官が吊るされた二つの死体を指差して、言った。

「強がるのもそのヘンにしておけ。見ろよ、あの二人の無様な姿。惨めなアヘ面も、弛み切ったケツの穴すらも衆目に晒して、吊るされてやがる。笑えるなァ?」
「あのコ達を侮辱しないでちょうだい……命まで奪われて、もう十分に罰は受けたでしょう?どうして、死に様まで辱められなきゃならないのよ」
「死体すら辱められるまで覚悟の上での、盗賊稼業だろ?今にお前も、あんなみっともねえ姿になるんだぜ?今はそんな凛としてる顔も、みっともねえアヘ面になり、尿道も肛門アヌスもユルユルだ。さぞ惨めだろうな?」

執拗に恥辱を煽る言葉をかけ、エメリナの気丈な態度を崩さんとするのだが、彼女が取り乱すことはなかった。

「ええ、きっと私もあんな風になるんでしょうね。この稼業を始めた時から覚悟していたことよ。私の最期を、存分に嘲笑うといいわ」
「マリーカとリアンナの汚らしい最期の醜態を見て、これから自分がそうなると分ってなお、その態度か、恐れ入るよ。アイツらは覚悟とやらもなく、泣き喚いて惨めに命乞いしてたじゃねえか?」
「あのコたちには、可哀想なことをした……まだ若い子達が処刑を前に怖がっても、しょうがないわ」
 
百人以上の女囚を恥辱の極みの中に処刑してきた執行官も、エメリナの態度の前に、肩をすくめて苦笑するしかなかった。
この女は『極めて稀』なケースの方だったらしい……こういうヤツに命乞いさせようとしても、確かに時間の無駄に終るだけだ。

「お前サンだって十分若いけど、大した態度じゃねえか?……それじゃ吊るすけど、せいぜいその態度を、最期まで保っててくれよな」

さっさと執行することにした執行官は、女囚をいつでも突き落とせるよう態勢を作った。

「……ッ!」
 
その瞬間、エメリナは息を呑む。動悸が一気に速まり、膝がガクガクと大きく振るえ、全身から汗が吹き出る。蒼ざめていた顔から一層血の気が引き、死者のそれのように蒼白になった。

「おっ!いよいよ吊るすか……だが、ちとタイミングが早いんじゃねえのか?泣き喚くまで待つのが、常道ってモンだが」
「そうそう、オラら、吊るされる雌犬のブザマで情けねえ命乞いを期待してるんだが」
「いや、あの女賊、たぶん命乞いなんてしねえぜ。大したモンなだ……こうなったら、せいぜい『ラストダンス』で楽しませてもらおうや」

青白くなった顔に汗をにじませて膝を小刻みに震わせてはいるが、命乞いの言葉や恐怖を訴えるようなことは言わず、どころか執行官と野次馬達を糾弾し始める。

「アンタたちッ!素っ裸にして、更には縛り上げた女を嬲って喜ぶなんて、ゲスもいいとこねッ!」
 
若い女にして、この死に臨んでの気丈な態度も、嗜虐に酔う野次馬にはなんの感銘も与えなかったらしかった。いや、どころかその気丈さに逆に嗜虐心を煽られ、一層罵声が激しくなる。

「ぎゃははッ!そんなゲスどもに、マッパに剥かれて死に恥晒すのは悔しかろう?お前の今の心中の無念を想うだけで、俺は3発はヌケるぜ!」
「畜生ッ!!チクショウぅぅッッ!!呪われろ!クソッ垂れのクズどもめッ!」
「ははッ、クソッ垂れはお前の方だろうが。俺たちクズ野次馬が見ている目の前で、『カンカン』をたっぷり踊って見せた挙句、クソ垂れ流せや」
「誰が……誰がそんなみっともない姿を見せるもんかッ!しっかり見てろ、クズども!!ブザマに踊り狂ったり、垂れ流しになんて、ならないぃッ!」
「ぎゃはははッ!!妹達は『ブザマに踊り狂って』『垂れ流し』で逝っちまったじゃねえかよ。お前も恥ずかしい妹たちに負けンなよ!」

「それでは、重罪犯エメリナの処刑を執行する!」
「ちくしょうぅッ!!さっさと吊るせよッ!テメエらが期待している醜態なんて、絶対に晒さ……ごひゅッ!」
 
強がりも半ばに突き落とされるエメリナ。重力に引かれ、縄の遊びまで自由落下し……

ギギュッ!

 縄輪が首に食い込み、エメリナから呼吸の自由を奪う。

「ぐはぉッ!!ぢ、ぢぐ……じょぉぉッッ……がほぅぉぉッ……んげぉふッ!」

「はじまったぜ!!オラ、雌犬!踊れ踊れ!もっと足挙げて」
「エメリナさん、まずはダンスからどうぞ~。浅ましい女盗賊の惨めな踊りビッチダンスを、私達に見せて下さいね?」
 
だが、見物人の期待と予想とは裏腹に、そして彼女自身の宣言通り、首への強烈な圧迫感と窒息という二重の苦悶にも関わらず、吊るされた直後のエメリナは、多くの絞首刑囚が見せる激しい脚の動きを見せなかった。

「ぐぅぅッ……がぅぉッ……」 

 肉体の反射で起こる生理現象を、精神力だけで押さえ込んでいたのだろうか、喉の奥から濁った苦悶の声を漏らすも、足先はわずかに震わすだけ



女賊の意地
『首吊りダンス』『女囚の最期のの舞踏ラストダンス』『吊るされ女ハングドビッチのカンカン』……など、悪意と嗜虐が見え隠れする俗称で呼ばれるこの現象は、公開絞首刑の一つの大きな『ヤマ』だ。そんな見せ場にもかかわらず、派手な踊りを見せてくれない女囚に、見物人からは当然の如く不満の声があがる。

「おいおい、なにやってんだよ、エメリナ。もっと足挙げろや!テメエの女の孔ヴァギナ、丸出しにしろ!」
「品の無い牝囚の腰振りダンスを見せろよ!オラ、もっと足挙げろ!腰を振りたくれ!!」

「ぐ……っそぉッ……だ、誰が……アンダら、クズどもぃッ……あじぃ、挙げで、アダジの『女』を晒ず、モンかッ!」
 
吊るされて気道を強烈に絞り上げられているのに、聞き取りにくい声で悪態をつくエメリナの姿は、空中から直立不動に見物人たちを睥睨しているかのようだった。

「どこまでも気の強え女囚だな……凄え性根だとは思うが、つまんねえな」
「まったくだ。こっちは金払って処刑見物に来てんのに……こらあ、雌犬。シラけるマネしてねえで、諦めて足挙げて俺らをたのしませろや!」
「まあまあ、若いの、そう焦んなよ。意志の力で生理現象を押さえ込み続けるなんて無理だ……今にアレも、雌犬に相応しい姿を見せるだろうぜ」
 
おそらくは年季の入ったベルトラニストだろう、その見物客の言った予想は、すぐに現実のものとなった。

「ぁぁ……ぁぅッ……」
 
脳への血流の減少の為、一瞬だけ意識が朦朧となった。その瞬間、責め苛まれている肉体が強靭な精神の支配を放れ、勝手に動き出す。バタッ、バタッと前後に40度くらいの角度で足を動かすその様子は、全力疾走をする走者のようでもある。

(あッ……い、イヤだッ……こ、こんな……あ、私の足ぃッ……と、とまってぇ)

 
    

「おお、待ってました!とうとう足を挙げ始めたな……だが、そんなんじゃ足りないぞ!エメリナ、もっと威勢良く足挙げろや!」
「そうだそうだ!もったいぶってねえで、股が全開になるくらいまで足を跳ね上げて、マ○コ丸出しにしろ!」
 
首への絞りがキツくなってきて、すでに悪態も反論もまともにできぬエメリナは、苦しげに呻き。

「ふっぐッ……ふっぎぃッ……ご、ごんな……みっどもない……見ぜたぐ、なッ……」
 
だが、本人の意志とは裏腹に、エメリナの足は勝手にその動きを激しくし、足がヘソ付近まで跳ね上がる。
『走者』からついに『踊り娘』になる……場末のはしたないストリッパーではあるが。
足を挙げて腰をくねらせ、自分の女陰ヴァギナを見せ付けるかのような動きは、まさにストリップのようであった。

「見ろよ!とうとうマ○コ丸出しにして踊り始めたぞ。口ではあんなカッコいいこと言っておいて、実に惨めで滑稽だな!?」
「あんだけ大口叩いて、結局踊ってやがるじゃねえか……こらぁ!女盗賊。ダンスの次は脱糞ショーだぞ?!覚悟できてるかァ!?」
「さっきは『クソ漏らさない』って、大口も叩いてやがったな?せいぜい、しっかりケツ穴アスホール締めておけよ!」
「そうだぜ!大穴広げて吊るされてるブザマな妹達に、姉として『立派な女賊の最期』の見本を示してやんな!」

脳への酸素供給を断たれ、意識は朦朧としてくる。この時の女囚の心境は、完全に推測するしかないが、おそらく相当な屈辱感と悔しさに、心を焼かれるような思いであったことは、想像に難くない。

(くッ……悔しいッ!こんな、こんなゲス……連中に見世物の笑い者にされ……死ななきゃならないなんてぇ……)
 
暗くなっていく視界の片隅に、ユラユラと動く二つの影が映る。それが、吊るされて虚しく揺れる妹達の骸だと悟ると、消えかかっていく心の中に、恐怖と恥辱と怒りの感情が沸き起こってきたであろう。

(ああぁッ……畜生ッ……私も、あんな風に尻をポッカリ開けて、死んじゃうのかぁ……リアンナ、マリーカ、姉さん悔しい、悔しいよッ……)

脳への血流が激減すると、その機能も低下していき、視覚聴覚嗅覚といった五感が極端に鈍くなってくるものだ。この時のエメリナも、おそらくは自分の周りの状況が認識できないくらいまで、感覚機能が落ちていたであろう。

(あ、ああぁ……静か、だわ……それに、暗い、わ……)
 
大歓声渦巻く刑場も、聴力が激減したエメリナにはほとんど届かず、驚くほどの静寂があった。視界も今では、ほとんど失っていた。その中で、たまに彼女の耳に入ってくるのは、屈辱的な見物客の煽り。

「……リナッ……んな足挙げ……えの恥知らずな穴が丸見……」
「……んな惨めなアヘ顔……恥ずかしくないのかし……」
「……ビクビクッて腰振って……たないエロダンス踊りやが……」
 
そんな声によって、エメリナは今の自分の状態を悟らされる。

(ああ……わ、私いま……相当ぶざまで……恥ずかしいこと、なってンだろうなァ……)
 
そう、この大勢の人間がいる刑場の中で唯一、エメリナ自身だけが、自分が晒している無残な様相を知らなかった……焦点の合わぬ目を、ギョロリと大きく見開き、舌を突き出している無残な表情を。だが、これまで公開処刑を見てきた経験と、観衆の声とで、自分がどういう醜態を晒しているのか、ほぼ想像がつく。

(あ、あぁ……きっと私、足……大きく、挙げ……股間、全開に……して、恥ずかしいトコ、丸晒しに、してンでしょ、ね……)
(くッ、悔し……は、恥ず……い……)



長姉の最期
わあああぁぁッ!!
うおおおぁぁッ!!
 
場内を怒号のような歓声が包んでいた。悪意と嗜虐と好色の暴風の中心にいる女囚は、すでに動いてはいない。見開いた目は虚ろに宙を見詰め、だらしなく半開きにした口からは、舌を突き出している。

さきほどまでのエメリナの苦悶の表情と、はしたない足掻きに、観客は興奮した。そして今は、弛緩しきった表情と、力ない四肢に欲情する。

最期まで気丈な態度を崩さず、凛とした顔で命乞いもしなかった彼女だが、吊るされてしまっては苦悶に顔を歪めながら踊り狂い、最期にはみっともないアヘ顔を晒す。その落差がまた、観客の嗜虐心をそそるのだ。

そして、観客の嗜虐を最もそそる女囚の醜態は、排泄物の粗相である。肉体のコントロールを失い、女としての尊厳と誇りを失い、最も恥ずべき内容物を自分の身体から吐き出して見物人に晒す。

これ以上の落差、あるいは醜態があろうか?そしてエメリナもまた-気丈で凛とした態度を崩さなかった彼女であっても、また-その醜態を回避することはできない。

じょぉっ……
じょぼぼぼおおおぉぉッッ!!
 
女の膀胱から、完全に弛緩した尿道括約筋をすり抜けて、黄金色の熱い体液が体外へと迸る。

「おおおぉッ!?あれだけ威勢の良いこと言ってたけど、とうとうションベン漏らしたな」
「いやでも、あのエメリナさんのことだ。脱糞は我慢してみせるかもしれんぜ?」
「だらしなくジョバジョバ漏らしやがって……オイコラ!せめてクソは我慢してみせろ!!ケツ穴アスホールしっかり閉めてろ!!」

ぶりッ……
ぶりゅりゅ!!むりむりりいぃぃっ!!
 
屈辱の罵声の中、エメリナの肛門括約筋も完全に弛緩する。女の白い尻肉の間から、やや黒みがかった黄土色の糞塊が顔を覗かせ、ボトリと地面に落ちる。それに続いて、

ぶぶッ!ぼりゅッ!……

っと、大便を断続的に吐き出していくエメリナのアヌス。


    

その光景は、国家というシステムに逆らい、権力に抗ってきた女盗賊の完全屈服の瞬間とも言えた。そして、日々の圧政に苦しんでいる観客も、この瞬間だけは倒錯的な快感を爆発させることができるのだ。

「おひょひょひょおぉっ!!とうとうクソ漏らしたか。エメリナなら、ひょっとして我慢するんじゃないかって思ったのに……残念でした!!」
「キリッとした美人の、気丈なエメリナちゃんも、吊るされちまえばこの様かァ……幻滅だな~。ぎゃははッ!!」
「いいか!テメエら女盗賊なんて、いくらカッコつけててもタダの糞袋なんだよ!そのことを心に刻みながら、クソ撒き散らして死んで逝け!!」

吊るされたエメリナの身体は、縄のねじれによってクルクルと回転し、吐き出し続ける大小便を、辺り中に撒き散らす。そんな惨めな最期を晒す女盗賊を、民衆はいつまでも罵り続けるのだった。







  1. 2018/07/12(木) 16:03:00|
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